2008年新年のごあいさつ
- 工房雑感
- 2008/01/01 Tue 00:09
新年明けましておめでとうございます。
日頃は嘉瑞工房のサイトをご覧いただきありがとうございます。
延び延びになっておりましたサイトのリニューアルがどうにか3月10日(延期しました)には更新することができそうです。新サイトではもう少しこまめにこの工房雑感その他も更新すべく努力いたします。
2007年を振り返ると、2006年の夏から依頼がありました「「印刷雑誌」とその時代」印刷学会出版部刊(http: //www.japanprinter.co.jp/)の調査、監修、執筆が1年数ヶ月を要して終了し、2008年発刊の運びとなりました。私は父、重蔵と共に、第一部第五章「組版、欧文タイポグラフィ」を担当いたしました。
まず1100冊以上ある創刊号からの「印刷雑誌」を1ページづつめくりながら組版、欧文タイポグラフィ等に関する記事を調査する作業から始まりました。関連記事の分類、選択、推薦作業、関係記事の洗い出しも含め日本の印刷業界を「欧文タイポグラフィ」の立場から俯瞰し117年の歴史を振り返る事は、その事自体、試行錯誤の連続でした。印刷業界誌としての性格からか技術紹介や業界関連の記事が多く、その中から印刷、デザイン業界の弱点である欧文タイポグラフィを系統だって記述する難しさを実感した作業でした。
しかし、親子でありながら普段なかなかそういう話ができない私にとって、戦前の話も含め改めて父から腰を据えて聞くことができたのは個人的には大きな収穫、財産になりました。根気よく面倒を見ていただいた印刷学会編集部の皆さん、貴重な資料をお貸しいただいた印刷図書館の皆さんに改めてお礼を申し上げます。
2006年から進行していた日経BP社様の社名ロゴ、ロゴ使用マニュアル制作にアートディレクターとして参加し、4月にリニューアルすることができました。
現在は機器メーカーの表示フォントについてアドバイスとコンサルタントを行っております。この件も年明けには実を結ぶことができるかもしれません。
また、ドイツ・ライノタイプ社の顧問としてコーポレートタイプの仕事も2件ほど動きだしそうです。
2007年は講演、レクチャーなども増えた一年でした。
5月12日 世田谷活版再生展、活版セミナー「活版印刷-昨日、今日、明日」世田谷文化生活情報センター
10月23日 多摩美術大学、小林章さんの特別授業に参加。
10月29日 小林章の「欧文タイプセミナー実践アルファベット!」第3部トークセッションに参加 TOKYO TDC
個人レクチャーが2件と、皆様の前でお話しする機会が多い一年でした。
また、取材なども多い一年でした。
●2007年1月発売の「DTP WORLD」2月号NO.104の特集企画、「デザイン×学校 本当に学校の勉強は現場では使えないのか」に武蔵野美術大学での講義紹介が掲載。
●2月19日より、日経アーキテクチャアのウェブサイトで2回にわたり、当社の紹介記事が掲載。
●日経デザイン」5月号 特集2“今こそ活版印刷”に、当社の印刷物やインタビュー掲載。
●10月号「Lingkaran」Vol.26に、嘉瑞工房で使用しているステッキの写真と、嘉瑞工房の紹介記事が掲載。 ●11月「DTP WORLD」11月号No.113の特集企画、「伝える文字、使える文字」特集
●「+DESIGNING」 特集「もっと文字を知る、文字を使う。」にインタビュー掲載
●「sunnybook」2007年創刊号sunnybook編集部。特集/文字に葛西薫さん、有山達也さん、永原康史さんと共にインタビュー掲載。
(http://www.sunnybook.yokochou.com/)
●2008年2月発行予定の「サライ」小学館の取材を高岡重蔵が受けました。巻頭インタビュー。
また、恥ずかしながら2008年春公開の映画「谷中物語」舩橋淳監督作品にキャストとして出演することになり、11月12月に撮影を当社と谷中でおこないました。カットされていなければ(笑い!)本人役でほんの少し出ています。(45年前の私も8ミリの映像で見られるかも)
本業の方で記憶に残る一つはTDC賞のディプロマを葛西薫さんのデザインで印刷することができました。以降5年間は使っていただけるそうなので、今年TDC賞を目指す方はご期待ください。
そして最後に、2007年は1957年にスイスの活字会社HAASから生まれた金属活字「HELVETICA」の誕生50周年になります。同じ年に私も生まれた事から、どうにか作品にしてみたいと思っており、押し迫ってからの制作になりましたが完成いたしました。
スイス国旗をイメージしてそれを4分割するとポストカードになるという物です。(ポストカードにカットした物もあります)
当社で保有する「HELVETICA」9種類7サイズが使われています。色は赤系5色、グレー1色両面8度刷りです。
また、新しい試みとして、金属活字を写真撮影し、25種類のポストカードも暮れに完成いたしました。
両方のお披露目はお茶の水の美篶堂ギャラリーでの「ブックカバー展51歳のヘルベチカ」1月8日-27日(タイポグラフィ協会主催)に合わせてショップで販売いたします。
(http://www.misuzudo-b.com/gallery.html)
また、準備が調い次第このサイトでも販売します。
当社はカバー展の方には参加しませんが、出品者のお一人、浅葉克己さんの版下製作のために組版をいたしました原版と、写真のポストカードに使用した原版も一部展示いたします。また、ドイツ・ライノタイプ社の小林章さんが書体の解説を寄稿しています。
どうも今年の工房雑感は宣伝が多くなってしまいました。
いろいろ行動範囲が広がりますが、あくまでも原点である活版印刷を起点としてできる範囲で挑戦の幅を広げて行きたいと思います。
本年もよろしくお願いいたします。
2008.1.1
有限会社嘉瑞工房
代表取締役 高岡昌生
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