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『聖句ポストカード作りの話―おまけの話(ラテン語とNicolas Cochin とCaslonと)』

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  • 2015/03/31 Tue 20:07
ラテン語をNicolas Cochin Romainで組んでみました。ご覧になって如何でしょう?私の組版の力とかではなく並びが奇麗でしょう。ラテン語はディセンダーのある文字(y,g,p,q)が少なく凸凹しないので行が美しいと言われています。金属活字会社の見本などにもラテン語の文句が選ばれることがあります。自社の活字文字が美しく見えるようにしているのと、ラテン語を用いていることに対する教養をアピールしているのではないかと思います。写真は今度のラテン語カードと1734年のCaslon商会の見本シート(当社保有)。キケロの言葉を使ってますね。もう一つはその見本シートを元に私がデザインしたCaslonポストカードです。
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『聖句ポストカード作りの話−6(その他のローマン体)』

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  • 2015/03/15 Sun 18:40
◎最後は各ポストカードに共通の出典やその他の部分のためのローマン体の話です。大事な出典とはいえ聖句画面に影響を最小限度にするためにサイズを小さく、薄いグレーで印刷することを考えました。
日本ではあまり馴染みではありませんが、De Roos RomanとDe Roos Italic(designed by Sjoerd Hendrik De Roos)を選びました。優雅な文字線が私は大好きでDe Roos の傑作の一つともいわれています。小さいサイズでしか使えなかったのでもったいなかったのですが、日本語訳との混植も一つの提案です。(当社にはDe Roosの書体はLibraもあります)
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『聖句ポストカード作りの話−5(専用封筒)』

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  • 2015/03/13 Fri 15:40
◎専用封筒の書体は3種カードで使った書体の中から選ぶことは決めていたので迷わずボリューム感があるAmerican Uncial InitialとAmerican Uncialを選びました。ただ、全部で2行なので、イニシャル「B」の色を変えても画面が持たないと思ったので、「Troyer ornaments」から葡萄のオーナメントを添えました。「B」を葡萄色にしたので、同色か薄い葡萄色も考えましたがボリュームを押さえながら気品が伝わる「金色」にしました。
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『聖句ポストカード作りの話−4(ドイツ語版)』

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  • 2015/03/12 Thu 19:00
涸れた谷に鹿が水を求めるように
  神よ、わたしの魂はあなたを求める。
神に、命の神に、わたしの魂は渇く。
  いつ御前に出て
神の御顔[みかお]を仰ぐことができるのか。
詩篇42:2-3 (日本語:新共同訳、 1987年)
◎平ペンで書いたような書体のPost Antiqua (designed by Herbert Post)を選びました。ドイツ語のアクセントもしっかり揃っています。色のイメージは森をイメージしてグリーンにしました。インデントの幅の決定がとても難しいながらも楽しい作業です。3行目、4行目の「Gott」位置と行頭と行末の形を意識しました。
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『聖句ポストカード作りの話−3(ラテン語版)』

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  • 2015/03/11 Wed 17:36
はじめに言[ことば]があった。言は神と共にあった。言は神であった。
この言は、初めに神と共にあった。
万物は言によって成った。成ったもので、言によらずに成ったものは何一つなかった。
言の内に命[いのち]があった。命は人間を照らす光であった。
ヨハネによる福音書1:1-5 (日本語:新共同訳、 1987年)
◎一般の方が聖句と言えばこの句を思い浮かべるのではないかと思われるぐらい有名な聖句です。この聖句選択時に中西恭子先生つぶやかれたラテン語の美しさが印象的でした。
「韻」の持つ組版的な美しさと気品を考え、優雅な銅版彫刻系のNicolas Cochin Romain を選びました。
色も落ち着いた群青で画面に優雅さを加えました。
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『聖句ポストカード作りの話−2(英語版)』

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  • 2015/03/10 Tue 23:18
いつも喜んでいなさい。
絶えず祈りなさい。
どんなことにも感謝しなさい。
テサロニケの信徒へ手紙一 5:16-18 (日本語:新共同訳、 1987年)
◎とても有名は聖句ですが、1行ごとに完結し、それが3行しかなく。当初葉書を縦位置で書体を考えましたが、3行ではポイントを大きくすると1行に入らなくなり、横位置に変更しました。
しかし、3行で画面を構成することは意外に難しくサイズを大きくすると1行に収まらない行があったり、行間を広げ過ぎると間の向けた感じになります。そこで選択したのがAmerican Uncial InitialとAmerican Uncial(designed by Victor Hammer)です。Uncialというその名のとおりカリグラフィをもとにデザインされた書体であり、Initialを組み込むことによって写本のイメージを連想させました。最初の文字「R」を赤が画面を締めます。このバージョンだけが両面合わせて4色刷りになります。
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Typetalks分科会『欧文組版のABC』第3期 「基礎から応用まで」のお知らせ

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  • 2015/03/10 Tue 11:38
昨年、2期にわたり実施致しました。Typetalks分科会『欧文組版のABC』第3期「基礎から応用まで」を開催します。お申込、詳細は以下のサイトから、締切は4月6日(月)12時までです。過去2回の受講者の皆さんからの要望が多かった、「書体選択の話、和欧混植の話、美しい欧文組版」も掘り下げます。
http://www.aoyamabc.jp/culture/typetalks-abcsession3/
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『聖句ポストカードセット(Bible Verse Postcards)作りの話−1』

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  • 2015/03/09 Mon 20:23
平成26年後半から、美篶堂の上島明子さんから、聖句をポストカードにしたいとの話がありました。選句を宗教学宗教史学者の中西恭子先生にお願いして、いろいろご相談しながら進めていきました。
 書体の選択とデザインは私に一任されましたが、キリスト教徒ではない私がどのように聖句に向き合えるのか、不安もありましたが、一つの挑戦のつもりで制作準備に入りました。年末に中西先生との話し合いで3編の聖句が選ばれ、言語も決りました。
書体の選択は短文とはいえ聖句なので、品格プラス読みやすさ、美しさ兼ね備えた書体を考えました。したがって当社にあるカリグラフィや銅版彫刻をもとにした書体からの選択です。

始めの計画では年明けには最終チェックで、1月末には完成の予定でした。おおよその組版は終わっていましたが、1月13日に私が病に倒れ、18日間入院することにより、大幅に進行がアくれてしまいました。上島さん、中西先生始めご心配とご迷惑をおかけしてしまいました。退院後、体調をみながらですが印刷を開始しなんとか完成しました。少々危険な状態でもあったことから、退院後のほとんど最初の仕事であった「聖句ポストカード」印刷がなにか大きな啓示になった気もします。キリスト教徒の方でなくてもとても良い言葉のカードです。私のタイポグラフィと共に何かを感じていただければ幸いです。

カード用紙は竹尾さんのロベールホワイトの220kgです。この用紙は2方向紙肩に「耳」と呼ばれる紙漉に跡があります。ポストカードサイズでは全てに付けることはできませんが、英語版には右辺に付けて高級感を演出しています。贅沢にも専用封筒もロベールホワイト90kgの特製封筒です。
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