平成26年後半から、美篶堂の上島明子さんから、聖句をポストカードにしたいとの話がありました。選句を宗教学宗教史学者の中西恭子先生にお願いして、いろいろご相談しながら進めていきました。
書体の選択とデザインは私に一任されましたが、キリスト教徒ではない私がどのように聖句に向き合えるのか、不安もありましたが、一つの挑戦のつもりで制作準備に入りました。年末に中西先生との話し合いで3編の聖句が選ばれ、言語も決りました。
書体の選択は短文とはいえ聖句なので、品格プラス読みやすさ、美しさ兼ね備えた書体を考えました。したがって当社にあるカリグラフィや銅版彫刻をもとにした書体からの選択です。
始めの計画では年明けには最終チェックで、1月末には完成の予定でした。おおよその組版は終わっていましたが、1月13日に私が病に倒れ、18日間入院することにより、大幅に進行がアくれてしまいました。上島さん、中西先生始めご心配とご迷惑をおかけしてしまいました。退院後、体調をみながらですが印刷を開始しなんとか完成しました。少々危険な状態でもあったことから、退院後のほとんど最初の仕事であった「聖句ポストカード」印刷がなにか大きな啓示になった気もします。キリスト教徒の方でなくてもとても良い言葉のカードです。私のタイポグラフィと共に何かを感じていただければ幸いです。
カード用紙は竹尾さんのロベールホワイトの220kgです。この用紙は2方向紙肩に「耳」と呼ばれる紙漉に跡があります。ポストカードサイズでは全てに付けることはできませんが、英語版には右辺に付けて高級感を演出しています。贅沢にも専用封筒もロベールホワイト90kgの特製封筒です。