2006年1月1日 kazuipress

2006年新年のごあいさつ

新年明けましておめでとうございます。
日頃は有限会社嘉瑞工房のサイトをご覧いただきありがとうございます。

昨年の工房雑感でお話しておりました、ライノタイプ社のコンファレンスについて、約半年をかけて準備をしておりましたが諸事情により昨年の開催が中止になりました。しかし、最初に私どもが考えていた形式ではありませんが、やはりタイプ関係のコンファレンスの企画もございます。開催の要項が決まりましたらこちらのサイトでもご紹介できると思います。

昨年5月に私どもにとっても念願だった、当社創始者、井上嘉瑞氏の著作物の合本「井上嘉瑞と活版印刷」が印刷学会出版部より、「著述偏」、「作品編」の2 冊本として出版されました。(詳しくは当サイト販売品目をご参照ください)この本「著述偏」巻頭に、「井上嘉瑞の人と作品」として一文を載せさせていただいたり、装丁を私自身が取り組んだことなど、思い出深い本になりました。また、非売品なのでご紹介できませんでしたが、ブックデザイナーの山下牧さんと共同作業で専用ケースの制作も取り組みました。この手の本としてはまずまずの売れ行きのようです。

2004年に出版いたしました、父、重蔵の復刻版「欧文活字」(My Typography (LIGHT UP, WON`T YOU?) を付録として追加した物)もかなり早く重版がかかり、予想以上の反響に驚いている次第です。

昨年は、友人のドイツ・ライノ社タイプデザイナーの小林章さんの「欧文書体 その背景と使い方」が美術出版社より出版され大きな反響がありました。本の内容の優秀さは読んでいただければ一目瞭然ですが、その本のご紹介も兼ねて8月に株式会社竹尾のセミナーに2人で講演出来たのも良い思い出になりました。

仕事の方では、秋にある団体からの依頼で、和欧文それぞれのディプロマのデザイン、印刷。用紙の選定(手漉き和紙)、カバーの共同製作(美篶堂さん)、カリグラフィ( ミユリエル・ガチーニ先生)による記名のプロデュースを手がける事ができました。
ノーベル賞受賞者からノーベル賞受賞者に送られるディプロマだけに細心の配慮をしたつもりで出来上がりも喜んでいただけたようで大いなる励みになりました。

そして、暮れにご報告致しましたとおり(当サイト嘉瑞工房ニュース)、The Royal Society of Arts(英国王立芸術協会)の Fellow に推薦されたことが大きな出来事です。
父も10年前に Fellow になり、昨年250周年を迎えた伝統ある協会の Fellow への推薦はありがたくも身が締まる思いです。

新年の決意として今年は Fellow of the Royal Society of Arts をきっかけの年としていくつかの作品制作や懸案の見本帳出版にもめどを付けようと思っております。前に進む事をお約束して新年ご挨拶といたします。
今年もよろしくお願いいたします。

有限会社 嘉瑞工房
代表取締役 高岡昌生